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「とにかく奇襲さえ防げれば王女の周りは護衛でぎっしりだ。噂の王宮近衛騎士団もいる。彼等を防波堤代わりに使用しながら黒コートを迎え撃つ」
「メルテシオン軍に混ざるって事か? そんなに上手く行くのかよ?」
「メルテシオンには傭兵と罪人メインの黒鍵騎士団って組織がある。それに、この戦時状況下で部外者が数人混ざろうがバレはしないさ」
実際、四国が入り混じった状態での侵入は容易い。
国籍や外見をあまり気にしている場合ではないからだ。
敵は冥魔族と言う、分かりやすい青白い肌をしている。
その為、人間には無頓着なのは致し方がないだろう。
だが、それは黒コートの接近の容易さも物語っている。
「メルテシオンを利用するって事は、二手に別れるって事だよな?」
「そうなるな。時間的に考えても一方は地下に向かわなければ間に合わないからな」
「なら、ボクが地下に行く」
いきなりの申し出に、二人は面食らった顔をした。
率先してそのような事を言うタイプではなかった筈だ。
「お前一人でか?」
円城の言葉にレーヴェは大きく頷く。
円城とクェイガーは何故か微妙な表情で、顔を見合わせた。
「なっ、何だよその反応! ボクだけじゃ心配
って事かい?!」
むっとするレーヴェを二人は半眼で眺める。
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