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ようやくハッキリとした方針が決まった事に、レーヴェは満足したのか肩の力を抜いて地面にへたり込む。
「まあ、今取れる作戦の中では上出来そうじゃねぇーか。だけどよ、何でレーヴェは王女護衛に来るのは遅れるんだ? その召喚とやらで直ぐにこれるんじゃないのか?」
召喚魔術をとても便利なものと勘違いしているように思えて、レーヴェは引き攣った苦笑いを浮かべた。
召喚魔術は契約を結んだ相手を、自分を基点として呼び寄せる魔術である。
逆に相手の近く――任意の場所に転移するには、明確な位置座標と莫大な魔力を消費する空間転移を行う必要がある。
前者と後者には危険度に大きな隔たりがあり、後者は間違えれば壁や岩の中に転移する可能性も有り得るのだ。
そのため空間転移などは難易度の高い魔術に位置付けられており、そうそう魔術師が簡単に出来るモノではないとされる。
安易に使えないのはその為だが、それを説明したところで先ほどの二の舞であろう。
「えーと、召喚は相手を呼ぶだけで自分は呼べないんだよ」
端的にかい摘まんだ回答だが、円城は納得したのか成る程と呟きながら指を弾いた。
何故かそれにホッとする。
「とりあえず明日は決戦だよ。今日はゆっくり休もう」
レーヴェはそう言うと穏やかに笑みを作った。
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