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「素直にメルテシオン軍にいきさつを話して見ようぜ? 王女の守護はそっらに任せれば良い。メルテシオンには例の“黒き戦鬼”がいるんだろ? 奴は黒コート倒してるって言ってたじゃねぇーか」
「彼等に俺達と黒コートの事をどう伝える? 我々は敵の襲撃予定を知っている怪しい者で~すとでも言う気か? それに“黒き戦鬼”は未来の姿だ。今の奴がそこまで強いとは限らんぜ」
クェイガーの言葉を皮切りに三人は沈黙した。
二手に別れるのが一番の安全策だが、肝心な戦力が足らない。
その戦力を補うにも方法が浮かばない。
万策尽きた感がテント内に広がる。
「やっぱり、メルテシオンには駄目もとで話して見よう。最悪、少しでも兵士が借りれれば戦力補填になるよ」
意を決してレーヴェが呟く。
しかし、クェイガーは難しい顔でそれを直ぐさま制した。
「いや、メルテシオンに言うのは止めよう。よく考えれば、メルテシオンは元々王女護衛のシステムは構築されている。常に全周警戒で防衛網も完成してる筈だ。余計なちゃちゃは混乱を招くだけだ」
「元々の護衛部隊を利用する?」
レーヴェの答えに、クェイガーは白い歯を見せて笑みを作った。
親指をびしっと上げているのは正解と言いたいのだろう。
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