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「魔術師が単騎で潜入と言うのは無謀だよレーヴェちゃん」
その言葉に不服があるらしく、レーヴェは膨れっ面で背後にいた麒麟兄妹を引き寄せた。
いきなり抱き寄せられて目を白黒させている。
「ボクにはこの子達がいるよ! 少しぐらい戦えるさ」
レーヴェの左手に抱き寄せられた朱が、こくこくと無言で頷く。
「青達が守る。青達が敵を排除する。問題ない」
右腕に抱き寄せられた青が、何故か自信満々に胸を叩く。
根拠は何も無い上、子供が強がっているようにしか見えないのが、玉に瑕である。
その二人を値踏みするように眺めながら、円城は口を開いた。
「本当にこいつら役に立つのか? まともに戦っている所を俺は見てねぇーぞ?」
その言葉に侮蔑を感じたのか、朱が低く唸り出す。
円城は顔を引き攣らせながら後ずさった。
「少なくともエンよりは役に立つと思うぜ? 何せ麒麟だからな。実際レアな戦力と思うしな」
クェイガーは何故か両腕を組んで目をつぶって頷いている。
「あ゛っ~?!」
直ぐさま怒りの声を上げるが、クェイガーはお構いなしだ。
レーヴェはそれを何とか宥めてから、意見を語りだした。
「この二人の事もあるけど、ボクが地下に行く明確なメリットがあるんだよ」
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