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そう言うと右腕をゆっくりと腰より上に持ち上げる。
レーヴェは両目を瞑ると、ゆっくりと右目だけを開いた。
瞳孔が拡がり、黒い光が燈っていく。
「自己封印メビウスリンク局所解放。時空干渉虚影眼発動。シンギュラリティ・ゲート局所展開」
額に小さな赤い魔法陣が浮かび上がると、手の平にも円系の魔法陣が浮かび上がった。
「リンク・トレジャリー【繋がる宝物庫】起動。来たれ、共鳴石。いでよ盟約の指輪」
その声に答えるように魔法円が輝き、紫の水晶体と指輪が一対ずつ姿を現した。
それを二人は唖然と見詰める。
「レーヴェちゃん、その妙な魔法モード? 使えるようになったんだ?」
「何となくだけどね。これは並列時空平面から、一定期間だけ存在情報を遷し込む力見たいだよ。多分、極点状態の一次元情報を五次元に差し込むんだ。術者の眼を観測基地として存在を定着させる。それによって、その時空連続帯に存在しない筈の存在を遷し出す事が可能見たいだよ」
レーヴェは独り言の様に呟いて行くが、二人は言っている意味が分からずに顔を強張らせて口元を引き攣らせていく。
魔術理論など門外漢だ。
当然の反応と言うしかない。
「え~、とりあえず小難しい事は置いとこうやレーヴェちゃん。仕組みはともかく、召喚魔法見たいなモノだって事だろう?」
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