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得心するクェイガーは何度も頷いている。
円城だけが不服そうに片眉を動かした。
「そんな便利なものがあるなら、他の魔術師は何で使ってないんだ?」
その疑問に、何故かレーヴェは困った表情を作った。
先程の件があるので、説明をしても無駄と判断したのだろう。
その事を感じ取れない円城は興味津々な眼差しを向けて来る。
レーヴェは頬を掻きながら、ようやく重たい口を開いた。
「召喚魔術にも色々あって、存在係数……召喚コストによって必要な魔力量が違うんだよ。主従契約を結んでいれば、召喚対象を術者の眷属として扱えるから魔力消費量は激減するけど……それをしていないモノを喚ぶには莫大な魔力を必要とするんだ」
案の定、小難しい顔になった円城を見てレーヴェは苦笑いを浮かべる。
それに助け船を出したのはクェイガーだった。
「ようはサーヴァント【奴隷】の呪いを受けなければ成らないって事さ。流石に命を握られるのは皆嫌がるだろう? だから、なかなか眷属召喚は出来ない。よって莫大な魔力を使っても数人しか召喚出来ないって事さ」
奴隷の呪いとは、呪術の中でも強固な部類に入る。
ソウルネーム【魂の名】と呼ばれる魂の波長を契約に使用する為、隷属させれた者は主人の命令に逆らうことはほぼ不可能。
死ぬと言われれば、自決するしかないのだ。
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