ロスト・ナンバー #2

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     ◇ 冷ややかな地下道には、思ったよりも敵の姿は少なかった。 入り組んだ洞窟内部は迷路の様であり、そこを意味なく巡回する冥魔族は少ない。 幽冥獣もコントロールする冥魔族が居れば大人しいものである。 戦闘を回避する為にレーヴェは索敵用の妖精を召喚し、一定距離を飛ばしては進むも繰り返していた。 姿隠しに索敵。 抜け落ちて行く魔力も馬鹿にならないが、戦闘をしながら進む事を極力回避する選択である。 それに輪をかけて運が良いのは、この出来立てほやほやの“冥夢の幻域”の効果のお陰だ。 元来、冥魔族は自身で辺り一体のエナジーを吸いつづける吸奪結界を展開する。 それは生命力を吸い取る行為であり、吸い取る方向から生命体の位置を探る事も可能なのだ。 だが、これだけ大規模な吸奪結界が張られているならば、個人で結界を張る必要性が無い。 その為、冥魔族はそれほど索敵に力を入れていないのだ。 (今なら、本格的にメルテシオンの先行突入部隊も本格的に動いているはず。これで尚更先に進み易くなる筈だよ) そうレーヴェが楽観視した矢先だった。 先を行く蒼が腕を上げて立ち止まったのは。 警戒している事に気づいて、レーヴェも直ぐさまトーラスチェーンを取り出す。 その先には闇に溶けるように、黒い人影が立ち塞がっていた。
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