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死者の行進 #2
ますます疑念が募る。
もし自分が死者ならば?
その想いの後に、レーヴェの頭に鈍痛が走った。
記憶の断片が蘇る。
毎回毎回、死んで終わる悪夢。
死者ならば、確かに記憶に死が刻まれていてもおかしくは無い。
しかし……それでは、今まで死者が過去や未来を繰り返し行き来していたと言うのか?
そんな行為に何の意味が存在するのか?
砂上の楼閣。
蟷螂の斧。
意味があるとはとても思えない。
レーヴェは頭を振って、クェイガーに向き直った。
「クェイガーは記憶が蘇ったの?」
その言葉には大きく首を振る。
「記憶は……蘇ってはいない。しかし、今までの旅で、俺は冥魔大戦に参加したのは分かったろ? 冥夢の幻域に侵入して生き残ったのは……レーヴェちゃんの話では二人だけしかいない。なら、此処にカシアジイーネ連邦共生国の部隊長として進攻した俺は……死んでいる事になる」
その回答にレーヴェは沈黙した。
確かにクェイガーは戦争に参加したはずだ。
ならば――冥夢の幻域に侵入した部隊と、地上を占拠した部隊の二つに分かれたのは確実である。
もし前者ならば……いや、戦死者の数は膨大だ。
地上戦で死んだ可能性もある。
だが、確実に死んだとも限らない。
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