死者の行進 #2

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円城の声は全員の胸に突き刺さった。 人は犠牲の上に生きている。 それが食物や家畜、はたまた人間なのは言うまでもない。 だが……それを理解しているからこそ、言葉の意味は受け取る人間の価値観に委ねられる。 「くだ■ん。顔も知らない人間の為に、自分の命をドブに捨て■気か? 俺には理解出来んな」 ギラルドが飽きれた表情で異を唱える。 「この世は弱肉強食だ。力な■者が死に、力ある者が生き残る。暴力だろうが何だろ■が、それに抗う力がなければ蹂躙される■けだ。俺は死に抗う力と意志がある。それ■他者に否定される言われはない」 ガズンの声は鉄だった。 一切のブレがない。 武人ならではの明確な正道があるのだろう。 それらを聞いてレーヴェは立ち尽くした。 明確な意志。 明確な価値観。 記憶がない人間には、それが欠如している。 後は自分自身を支える人間性だけだ。 硬直するレーヴェとは違い、クェイガーは大きな溜息を吐いて頭を乱暴に掻きはじめた。 「やれやれ、痛い所をつくな~。俺は軍属の公人だ。自分の命を捨てても国益を守らなければならない……。それは記憶が無くても分かる事柄だな」 「ならやることは分かってるよな?」 円城が不敵に笑うと、クェイガーは苦々しそうに相槌を打つ。
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