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その音の直後、円城はいきなり段差に足を取られたかのように地面に転がった。
無様に転がる姿は間抜けこの上ない。
「何しやがった畜生が!」
円城は直ぐさま体勢を立て直して立ち上がろうとした。
しかし、立ち上がろうとして円城は氷ついた。
立ち上がりたくても立ち上がれない。
円城の右足は膝から先が綺麗に消えていた。
無くなった先が砂のように光の粒となって零れていく。
振り向く先に、同じように断面が崩れ行く右足が転がっている。
円城は歯軋りして道化師を睨みつけた。
その先に、静まり返った海でただ一人笑う姿がある。
「馬鹿だね君は。君らの身体はボ■の“排斥の力”で維持されて■る。それが無ければ術者も死に、能力も切れている現在に君らが生き■いる訳がないだろう? だからこそ彼等はボクの仲間であり、ネメ■スを欲している。ボクが君らにかけた術を解く■は容易な事さ。死体に戻りたければ掛■って来るが良いよ」
「クソッタレが!!」
円城はその場で右拳を振りかぶる。
その拳がぽろりと落ちた。
あっさりと――呆気なく。
「こ……のぉ、糞がぁー!!!」
闇の海に絶望の叫びがこだまする。
不条理に登場したデウスエクスマキナは、自分の描いた筋書を思うがままに進めようとしていた。
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