死者の行進 #2

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即ち――闇使いサンドリガーと呼ばれていた男だ。 その黒コートが答えた名。 邪神霊ネメシス。 その名を知っている気がしてレーヴェは眉を寄せた。 記憶の断片に引っ掛かる名前。 『ネメシスの代行者』 耳の奥に声が反響した気がした。 その声を思い出して目を大きく見開く。 (あの時……だ。聖骸を守る旅の最後に現れた……蒼白い……狼。ボクを……ネメシスの代行者と呼んだ。ネメシス?) 青白い顔のレーヴェの頭に声が響く。 混乱している頭に、デルエペラの声が届いたのは少し立ってからであった。 《ぼけっとするな! まだ起動式は完成していないぞ》 「デルエペラは……邪神霊ネメシスを知っている?」 《おいおい。妖精界戦争も知らないのか? お前らの世代はタイムリーだろうが?》 「妖精界戦争……」 その名を共有したデルエペラのメモリーバンクから、情報をごそっと引き出す。 神誓王国メルテシオンで起こった王女拉致事件を発端にした戦争。 それが妖精界戦争だ。 王女拉致から始まった事件は……不完全な冥王ネメシスを妖精界に顕在化させると言う、最悪の結果を導く事になる。 その後、不完全な冥王ネメシスと邪精霊が融合した存在が邪神霊ネメシスと呼ばれた存在だ。
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