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ガズンの唐突な回答にレーヴェは大仰に振り向いた。
予想外――は続いている。
始めから想定内の事など一つもない。
だが、一番の謎はそれだ。
この不可思議な話の起点。
蘇らせたのは誰か?
この眉唾物の話を、真実とする根拠は?
「誰が……此処にいる人間を……わざわざ蘇らせたんだよ」
搾り出すような声しか出ない。
それが真実と向き合う覚悟の限界だった。
「奴は我々を任意に蘇らせ■訳では無い。ただの偶然だ。奇跡的な要素が偶然重なって出来た産物でしかない」
「偶然の……産物?」
「■の通りだ。我々を甦らせたのは冥魔黎■衆“黄昏戻しのゼンルー”。その特殊■力“幽鬼境界”の力だ」
「冥魔黎明衆……“黄昏戻しのゼンルー”? 幽鬼境界”?」
レーヴェはその言葉を反芻してから顔をしかめた。
頭に響く鈍痛。
死体の山で蘇った記憶の断片が甦る。
死体の海。
そこで見た景色は暗闇に包まれていたが、鮮明に触覚、痛覚の記憶が浮上する。
脚に走る鋭い痛み。
体温が奪われていく、薄ら寒い恐怖。
それは死した時の記憶か?
はたまた、死を前にした記憶だろうか?
「冥魔黎明衆が蘇らせた……」
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