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「神を顕在化させ得る膨大な神霊力と……依り代(憑代)。もしくは……存在を世界に固着させる観測者」
レーヴェは黒コートが欲しがっていた二つを思い出した。
メルテシオン第四王女と召喚神殿。
今ならパリキス王女を欲しがる理由は単純明快だ。
そもそもネメシスを呼び出したのは彼女である。
また同じ降神術を望めばよい。
召喚神殿も霊脈の集まる、儀式には絶好のパワースポットだ。
補佐的な意味でも、神霊力の足らない依り代の補強にも使える。
それとも召喚ゲートを介して何か別のアプローチ方法が可能なのかも知れない。
魔術師の思考だけでも、幾重にも手段は導き出せる。
復活させる可能性は皆無では無いのだ。
『条件がも■すぐ整う。ネメシスの復活はもう直ぐさ。そうす■ば君達は未来に生き残れる』
「未来……未来?」
レーヴェはその言葉に何か引っ掛かった。
この道化師が黒幕ならば、全ての辻褄が合う。
しかし、何か妙な違和感を感じる。
まるで目の前で手品を見せられた観客が、タネが分からず驚く事しか出来ないような感覚。
一方向からしか物事を見ていない為に起こる錯覚。
疑念は浮かぶが、何に対しての疑問かは明示できない。
『さあ~、復■は目の前さ。時間も十分。儀式場に行こうじゃな■か!」
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