冥王の鼓動

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「偶像具現化能力……?」 レーヴェの声が聞こえたのか、道化師はわざとらしく指をこめかみにそえる手首を回している。 おちょくった態度に円城の眉間に青筋が走った。 「能力なんて関係ねぇー! 全部等しくぶっ飛ばす!」 拳を振りかぶると全力で駆け出す。 こう言うときに切り込み隊長がいるのは有り難いものだ。 「とにかく、こいつを抑えて冥王復活を阻止だ。それは変わらんね」 円城に続いてクェイガーの身体がふわりと海面から浮かび上がると、一気に波を立ち上らせながら移動する。 それを確認してからレーヴェもデルエペラを駆動させて行く。 「どのみち使役しているのは道化師。本体を叩くよデルエペラ!」 《了解だマスター。敵を殲滅する》 いきり立つ三人を見ながら、道化師はほくそ笑む。 事は既に成就している。 これから起こる戦いは、ただの消化試合のようなものだ。 この戦場は冥王の力で一辺するだろう。 冥魔族など比べようもない災厄が訪れる。 「さて、終焉の始まりだ。君達には前夜祭の供物と成ってもらおうか?」 道化師は劇場の進行役のように高らかに宣言する。 こうして、レーヴェ達の最後の戦いは始まった。
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