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その攻撃はあっさりと空を切った。
手応えの無さに、ガズンは憮然とした表情で顔を強張らせる。
本来ならば避けるなど不可能なタイミングだ。
全面は爆風、その中から無形の気の攻撃。
それを避けたとなれば動きを全て掴んでいたか、始めから移動していたかのどちらかであろう。
実際、ガルンは始めから右方向に移動していたのだ。
各個撃破。
基本戦術の一つである。
ガルンが狙ったのはギラルドであった。
いきなり、そのギラルドの胸から刀が突き出す。
「あ゛っ……?!」
「滅陽神流歩法・黒霞」
三人がガルンの姿を見失ったと思った直後、ガルンはギラルドの背後に現れていた。
「くそ……何故だ。何故、貴■の刀は俺達に効く?!」
「滅陽神流剣法は本来斬れないモノを斬る剣技だ。貴様らも例外ではない」
「糞が!」
ギラルドは素早く胸を貫いた刀を掴もうとした、爆薬化の能力は触れたモノを爆弾とする。
「遅いー―滅陽神流剣法・無式八型“逆袈裟斬り”」
貫いた刃先は、ギラルドの手が触れる前に跳ね上がった。
胸の中心から片口を貫けて刀が閃く。
その傷口から黒い血飛沫が舞い上がった。
本来、停滞している身体からは有り得ない現象である。
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