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終焉を喚ぶ者 #2
《良いチョイスだぜマスター? そいつを着込んだ人間は腕がもげようが、脚がもげようが肉体を補填して戦い続ける呪いの鎧だ。使用者の命を吸収し続け、最後は死に至るが……どの道、このまま死ぬぐらいなら、奴は戦って死ぬタイプだろ?》
その能力にレーヴェは絶句した。
これで失った手足の替わりにはなるが、確実に死の宣告を受けるようなものである。
(これは……使えない)
下唇を噛み締めた直後に、耳に円城の声が聞こえて来た。
「その鎧を出しやがれ!! どうせ死ぬなら、一発奴を殴らせろ!」
「……えっ?!」
レーヴェは驚きの表情で円城を見つめた。
聞こえない筈のデルエペラの声に、反応したかのようなタイミングである。
《テレパスか? あいつ……何かの失敗作じゃなかったのか? 何故念話が使える?》
デルエペラが驚くのも無理も無い。
本人も無自覚なだけで、円城が使ったのはテレパシーの一種であった。
「でも……これは」
「良いから出しやがれ! もう一匹妙なのが現れたんだぞ! 悠長な事を言っている場合か!」
二人のやり取りを聞きながら、クェイガーはわざとらしく時間稼ぎを兼ねて、前方の敵に話し掛ける。
「その新人君は何かな? この世界……空間結界は解けていないようだが?」
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