神に挑む者 #2

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     ◇ 吹きすさぶ旋風が海水を激しく波立たせる。 発生源は目の前に居る見上げる程の巨人だ。 クラウドジャイアント。 巨人族の中でも高位に位置する存在。 天候を操り、その力は神族にすら匹敵すると言われる。 竜種と並ぶポピュラーな恐怖の対象だ。 空の大地を覆い尽くすような、強大な雨雲が天に拡がって行く。 「ゲイル・ランサー!!」 クェイガーの蹴りから旋風が巻き起こる。 錐揉み状の竜巻は、されど巨人の右腕の一振りから発生した竜巻と当たり相殺された。 驚くクェイガーに向かって、巨人の左手が伸びる。 それを避けた瞬間、雲が明滅した。 いきなり雷光が数条落ちる。 それをクェイガーは風による高速移動で何とか躱した。 「洒落にならないね。こいつが噂のモーションマジック【動作魔術】か!」 モーションマジック。 シンボル・マジック【象徴魔術】の上位魔術に位置する魔法だ。 幻想種などのハウリング・マジック【咆哮魔術】と並ぶ、最速の魔術の一つである。 シンボルマジックのような空間に印を刻み発動する魔術を、肉体を動かす動作の中に全て刻み込んだ魔術であり、身体を動かすだけで発動する稀有な魔術体系である。
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