神に挑む者 #2

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「これはまずいかもな……」 クェイガーは顔を微妙に引き攣らせて円城を見た。 そちらの方もかなり分が悪い。 円城が戦っているのは白いチャリオットだ。 銀色のフルプレートアーマーの騎士がランスを片手に、銀のチャリオットの手綱を握っている。 だが、その能力はデュラハンと呼ばれる死霊騎士に近い。 「何だこいつは?!」 叫びながら円城の拳が唸る。 しかし、その拳の一撃を受けるとチャリオットは霧のように霧散して、形を分散させるだけで直ぐに元の形に戻ってしまうのだ。 死霊騎士。 幽体で構成されている不死族。 物理攻撃は一切効かない。 打撃とテレキネシスの円城には最悪の相性と言える敵だ。 チャリオットの突進からランスが伸びる。 まるで吸い込まれるように胴体に迫る切っ先を、身体を捻って躱す。 それは脇腹の服を切り裂き、血飛沫を上げさせた。 「こっちの攻撃は効かない癖に、野郎の攻撃はこっちに効くのかよ!」  舌打ちを鳴らすが対応策が思いつかない。 円城は劣勢に陥り始めていた。 その様子にはレーヴェも気づいていた。 銀色のチャリオットは幽体だ。 物理攻撃は効かない。 だが、魔法攻撃ならば別だ。 魔術攻撃なりエンチャント【魔力付与】をかければダメージは与えられる。
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