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しかし、レーヴェは動けないでいた。
目の前にいる紫の魔道士と相対しているためだ。
魔道士の周囲には様々な魔道書が浮遊している。
その内の一つはその手の中で開かれ、ページが無数に宙に舞っていく。
レーヴェも戦闘準備は終わっていた。
デルエペラの花弁は展開済みである。
「多目的汎用魔道兵装“デルエペラ”、シルバースティール装填モード。シルバーカートリッジ充填。量子詠唱術式“リフレクション・ローダー”起動。詠唱を未来に一任する」
身体の周りに浮いた、銀色の花弁が淡い光を放ち出す。
それに反応するように紫の魔道士は魔道書片手に、空いた手を挙げる。
「インフィニティ・グリモアライズ」
魔道士の身体を中心に、光の波動が三条外へと拡がって行く。
それを見ながらレーヴェは起動術式を発露させる。
「アンプランテ・アヴニール04解放。トーラス呪詠式・ソロ“煌めく氷華”!」
「アイス・ストリーム・ヒートリード」
デルエペラの花びらが輝くのと、魔道書のページが燃え散るのは同時だった。
空中で氷風と氷風がぶつかり合う。
中間の水面が一瞬で凍りついき、大気にダイヤモンドダストが舞い輝く。
それを確認してレーヴェは小さく目を細めた。
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