79人が本棚に入れています
本棚に追加
神に挑む者 #2
「冥魔黎明衆の力で甦ったお前は、あくまで邪神霊ネメシス。神と言う存在から劣化した、今の貴様と言う分けだ」
そう言い切ると、ガルンはかつてパリキスに聞いた話を反芻した。
数少ないパリキスとの会話の記憶は、今だガルンの中では宝石のように輝いている。
ネメシスは自らの手を見ながら拳を握り込んだ。
ネメシスが復活出来たのは、この劣化のおかげであった。
本来、ゼンルーの能力“幽鬼鏡界”では神など復活出来はしない。
そこでガルンは気がついた。
目の前にいる存在は、冥王ネメシスの劣化存在だ。
邪神霊ネメシスではない。
では、融合したとされる邪精霊は?
そこでガルンは一つの結論を導き出した。
不可解な存在はもう一人いたのだ。
天と地が逆転した海の世界に。
「そう言う事か……。始めからいた道化師。アレが“邪精霊”か」
ケラケラと笑う道化師の姿が脳裏に過ぎる。
あれがネメシスの片割れと言うならば、黒幕と言うのも頷ける。
だが、不完全なネメシスと違い邪精霊は劣化していたようには見えない。
今回の事件の首謀者が邪精霊ならば、その力だけが健在な理由だけが謎である。
しかし、その謎は呆気なく本人が別の場所で明かしていた。
酷くあっさりと。
最初のコメントを投稿しよう!