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猪突猛進の敵など御し易い相手この上ない。
弾き飛ばすか薙ぎ払うか。
アフティがそう考えていた瞬間、円城の姿が目の前から掻き消えた。
水面を叩いて出来た水飛沫も、走ってきた軌跡を残して消えている。
『……!?』
『バァーニシング・ナァッコォー!!!』
棒立ちのアフティの真上から大声が降り下りてきた。
見上げた仮面に拳が捩り込まれる。
真上にはいつの間にか拳を振り下ろす円城の姿があった。
水面を巻き上げ、大地に響き渡る鈍い重圧な振動が鳴り叫ぶ。
まるで、その一角を巨大な鉄槌が打ち下ろされたようにアフティごと大地が陥没した。
「どうだ糞野郎!!」
そう言うと円城は意気揚々と大穴が開いた地面に、海水が流れて行く様を眺める。
渾身の一撃。
されどその威力は今までの比ではない。
人間なら一撃で再起不能の威力――だが、果して?
息巻く円城の背中にいきなり光の矢が突き刺さった。
「……っ?!」
その背に次々に光の矢が降り注ぐ。
襲い来るニ撃目も背に受けたが、それ以降は円城の背に光の膜が形成されて全てを防いだ。
「エン?!」
レーヴェは叫んでから光の矢が降り下りてきた先――空を見上げる。
そこには埃まみれで服が煤切れているが、ヘルメキアの健在な姿があった。
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