不条理と言う名の奇跡 #2

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そう言ってから円城は少し奇妙な表情を浮かべた。 忘れていた何かを思い出したような。 (今なら……使えるか?) 円城は瞳をゆっくりと閉じるとレーヴェの姿を思い浮かべる。 《聞こえるかレーヴェ? 聞こえたら、心の中で答えてくれ》 唐突に頭に流れてきた声にレーヴェは面食らった。 デルエペラの声ではない。 明らかに円城の声だ。 (エン……?!) 《テレパシー能力のようだな。あの男……この土壇場で潜在能力が開花しつつあるようだぞ?》 今度の声は確実にデルエペラだ。 “超人兵召喚計画”の完成型……ハイレイヤーに円城が近付きつつある事をレーヴェは知らない。 (聞こえるよエン! こんな能力があったんだね) 《ああ、今使えるか試したばかりだかな。時間がねぇ。簡潔に言うぞ。あの糞野郎を完全に一撃で仕留められる魔術はあるか?》 (一撃……?!) レーヴェは息を呑んだ。 幾つもの魔術を待っているが、問題となるのはアフティの願望投射能力だ。 どれくらいの威力、どれくらいの効果があれば、あの出鱈目な力を突破出来るかは分からない。 現に連続魔法を使っても、かすり傷一つ付けられないのが現状である。 一撃となれば格段にそのハードルは上がる。
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