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そう言ってから円城は少し奇妙な表情を浮かべた。
忘れていた何かを思い出したような。
(今なら……使えるか?)
円城は瞳をゆっくりと閉じるとレーヴェの姿を思い浮かべる。
《聞こえるかレーヴェ? 聞こえたら、心の中で答えてくれ》
唐突に頭に流れてきた声にレーヴェは面食らった。
デルエペラの声ではない。
明らかに円城の声だ。
(エン……?!)
《テレパシー能力のようだな。あの男……この土壇場で潜在能力が開花しつつあるようだぞ?》
今度の声は確実にデルエペラだ。
“超人兵召喚計画”の完成型……ハイレイヤーに円城が近付きつつある事をレーヴェは知らない。
(聞こえるよエン! こんな能力があったんだね)
《ああ、今使えるか試したばかりだかな。時間がねぇ。簡潔に言うぞ。あの糞野郎を完全に一撃で仕留められる魔術はあるか?》
(一撃……?!)
レーヴェは息を呑んだ。
幾つもの魔術を待っているが、問題となるのはアフティの願望投射能力だ。
どれくらいの威力、どれくらいの効果があれば、あの出鱈目な力を突破出来るかは分からない。
現に連続魔法を使っても、かすり傷一つ付けられないのが現状である。
一撃となれば格段にそのハードルは上がる。
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