不条理と言う名の奇跡 #2

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そもそもトーラス呪詠式魔術は速度優先の魔法だ。 そこまで大規模な魔術は仕込んでいない。 魔術の合わせ掛けで高位魔術を生み出すだけだ。 (一撃は……難易度が高いよ) 《そこを何とか頼むぜ……そろそろ……こっちは限界だ》 円城はヒビが入り始めたアームアーマーを見て舌打ちする。 円城自身の力とアフティの力を受ければ、並の武具の強度ならば一撃で砕けている。 よく持っている方だと考えるのが常道だろう。 《上の魔女と道化師は何とか俺が抑える。とにかく無茶でも無謀でも一撃頼むぜ!》 円城はそう伝えると低く体勢を構える。 前傾姿勢気味の体勢は、走り出すにはうってつけの姿勢だろう。 それを見てアフティはケラケラと笑い声を上げた。 『やれやれ……何やら仕出かし■いようだけど。君達では力不足だ■教えて上げよう』 そう言うと手を叩く。 叩いた振動が水面を伝うと、幾重もの波紋が浮かび上がる。 『我は望む。かつての仲間を。そ■は死人にして死人。廻る憎悪に囚われ虚ろな■』 宣言と共に幾重もの波紋の中心が噴き上がると、黒い塊を吐き出した。 水に滴る全身を覆い尽くす黒い外衣には見覚えがある。 その数――十六。 「……!?」 それを見て円城とレーヴェは絶句した。
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