75人が本棚に入れています
本棚に追加
黒いフードコート姿はつい前に嫌と言うほど拝んでいた。
凶悪な敵として。
同じ境遇の犠牲者として。
“スタグナター【停滞者】”。
それがずらりと並んでいた。
「新手……?!」
レーヴェの顔が青ざめるのは仕方がない。
ヘルメキアでさえ持て余すのに増援が現れるとは。
「新手じゃ……ねぇ。こいつらは……今までの黒コートどもだ。何人か同じ顔をしてやがる!」
円城の苦虫を潰したようなうめき声が世界に虚しく響く。
『その通り! 彼らは今■での彼らさ。まあ、魂が無いから本物に限りなく近い偽物だけどね。ボ■は怨念の塊のようなものでね。生への執着……渇望と言う名の■念が集い、存在しない事象を望み尽くす事で“願■具現化能力”が発動している。恨みつ■みは対象が居てこそ想いが積もるものさ。適当に何かを想像しても、まともなモノは具■化出来ない。知っている――記憶にハッキリとあるモノこそ渇望しやすいだろう?』
死を間際に人は何を望むだろうか?
達観した、満足した死を迎える人間はどれだけいるか?
不慮の事故。
理不尽な病。
他者の悪意による死。
望まぬ非業の死を迎えた人間の最後の想い――それが寄り集まって生まれたモノは、酷く呪いに似た渇望の塊だった。
最初のコメントを投稿しよう!