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死にたくないと生を渇望した想いが、一時的な生者を“スタグナター【停滞者】”とし、死を迎える未来に進みたくないと言う想いが、閉じた流転の世界を生んだ。
渇望と言う名の呪いの塊に、さらなる力を宿したのは、やはり冥王ネメシス――“神ノ渇望”によるものだろう。
神の渇望は、事象を捩曲げる悪鬼を生んだ。
その力は、とうとう怨念から生命を産むに達したのだ。
『魂の無いがらんどうだか■ね。オリジナル程のしたたかさや根性見たいなも■は無い訳だが……能力的にはオリジナルと何も引けを取ら■い。分かって貰えたかな? その気に■れば、君らの相手など役不足も甚だし■と』
アフティの前に立ち並ぶ黒いフードコート達は、幽鬼のように生気が無い。
正しく死者の兵としての姿を醸し出している。
《無限の死人生成か。これ程厄介な敵には、俺もお目にかかった事はないぜマスター?》
デルエペラの声にレーヴェは首を振ると、しっかりとした意志と共に黒コート達を見据える。
「もう諦めないと決めたんだ。敵が増えたのなら……増えた分だけぶっ倒すよ!!」
鼻息荒く宣言するレーヴェは本気のようだ。
一瞬折れかかった気持ちを繋いだのは、目の前の円城の背のおかげだ。
これだけの戦力差でも少年の闘志は薄れない。
何物にも屈しないのが円城の矜持なのだ。
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