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『あ■は……ジョナサン・グライド? 何■彼を――呼べる?』
騎兵団の先頭馬に乗るのは王宮近衛騎士団の一人、ジョナサン・グライドだった。
冥夢の幻域の地上で、レーヴェ達と別れたきりである人物だ。
辺りを一望して少し伸びた顎髭を摩る。
「こいつはどう言うこった? 国境所か別世界に来ちまったのか?」
「部隊長~。もしかして、カシアジイーネ連邦共生国の国境目指し中でした?」
不思議がるグライドに、アスラージュが声をかける。
ようやく目の前にいる先遣隊のメンバーに気がついた。
「おお、アスラージュ。その様子では聖骸は取り戻してはいないようだな?」
「何でか、聖骸捜索とは別の厄介ごとに巻き込まれたようですよ。詳しくは後でレーヴェちゃんに聞くって事で」
しれっと答えるアスラージュを呆れたように見てから、レーヴェを見つけて顔を向ける。
レーヴェの展開しているシルバースティールを見て、ただならぬ状況だとは理解したようだった。
それから正面に展開している黒い集団に目を向ける。
「まあ~、理由は分からんが……あれだけ怪しい連中がこちらに敵対行動を起こしているだけで、戦う理由には十分だな」
グライドは腰からレイピアを引き抜くと、前方の黒コートに刃先を向ける。
「俺達は神誓王国メルテシオン、特務派遣騎士団。弓引く場合は殲滅する。異論は許さんよ。引けば見逃すがどうする?」
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