不条理と言う名の奇跡 #2

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「始めるよ円城!」 「おうよ!」 円城に声をかけると、レーヴェは足元から三日月形の鎌を取り出した。 鎌の刃部分はレーヴェの肩幅程度の長さしかない。 明らかに道具に分類される物で、鎌と言うよりは杖に近い。 「これが切り札だよ」 『……そん■ものが切り札かい?』 「感想は……受けてから言うんだね!」 レーヴェの前方の空間に積層型の魔法陣が拡がって行く。 その中心に鎌を差し込む。 まるで鍵穴に鍵を差し込むようなモーションだ。 『……気に■る程とは思わないけど。ただ受ける■は芸がないね』 アフティが腕を伸ばすと黒コート達が動き出す。 「来るぞ! 向かい討つぞ野郎ども!」 グライドの号令に従い騎士達が次々に武器を構える。 それはウォータルとアスラージュも同様だ。 「先手を打つぞアスラージュ!」 「あいよ!」 ウォータルの声に答えるように、アスラージュは海面に鉄槌を打ち込む。 迸る雷撃は指向性があるのか前方に扇状に拡がって行く。 飛び上がる者、防御する者、意に介さない者と対処法は様々だ。 そこにウォータルが同じく海面に手を付く。 「フリージング・ウェーブ!!」 盛り上がる様に津波が出来上がる。 それが通り過ぎた海面がなぞるように凍って行く。 着地した何人かと、防御した数名の足が海面ごと凍りついた。
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