不条理と言う名の奇跡 #2

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『ボクの■望する意思を刈り取っ……た?』 アフティは急激に周りの空間が歪み出した事に頭を押さえた。 思考が混濁して視点が定まらない。 寄せ集めの意識が、統率力を失って迷走して行く。 これがデルエペラが誂えたシナリオだ。 ヘルメキアの亜空間宝物庫に眠る、全ての秘宝の効果を知っているからこその戦略である。 『駄目だ……“ボクら”の■識が崩れる?』 よろめくアフティを前に、レーヴェは残った魔力を全力で集約して行く。 (一撃!! あの邪妖精を一撃で屠る火力――それは一つだけある!) レーヴェが両腕を突き出すと、瞳から光が陽炎のように立ち上っていく。 突き出した腕の前に三重の魔法陣が展開されて行く。 「シンギュラリティ・ゲート再展開! リンク・リインフォース【繋がる援軍】起動。来たれ“偽りの黒焔”!」 局所ゲートから迫り出して来る黒い大剣を見て、アフティの身体がひしゃぐ。 恐怖にかられて、身体の中の“何か”が逃げ出すそうとしているようだ。 『アレは――まずい!! ただのレ■リカでしかないが……今のボクには』 アフティがチラリと背後を向いて、顎をしゃくるとアフティの影から人が迫り出して来る。 それは海面に堕ちた筈のヘルメキアであった。 ボロボロの服や髪などお構いなしに、その顔は相変わらず無表情である。 ヘルメキアの周りの空間に、次々と魔道書が出現して行く。
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