75人が本棚に入れています
本棚に追加
呪文を唱えながらレーヴェの顔が強張る。
大掛かりな魔術の為に、明らかにスピードでヘルメキアに勝てる訳がない。
案の定、ヘルメキアのグリモアライズ・ヒートリードはワンフレーズで完成する。
(間に合わない――)
レーヴェは魔剣砲台の魔術を編みながら、絶叫したい焦燥が溢れ出す。
解き放たれる魔術群。
一撃で人体を吹き飛ばす攻撃は、されどレーヴェとヘルメキアの中間点で爆発した。
アフティが露骨に不愉快な声を搾り出す。
『きっ■まぁ!! 邪魔をするな■敗作が――!!』
爆発の中心からボロボロの円城が姿を現す。
テレポートで攻撃射線に無理矢理身体を滑り込ませて、攻撃を防いだのだ。
魔術実行中のレーヴェを移動しては意味がない。
確実に攻撃を遮る効果的な方法を、円城はこれしか思いつかなかったのだ。
「こいつは……俺が抑えるって……言ったろうが! やっちまえレーヴェ!!」
愛想笑いを浮かべているが、明らかに円城の身体は限界だ。
フォースフィールド【力場】で完全な直撃は防いだが、擬似的に備えた鎧の腕は砕け散り、腹部と右太股は大きくえぐれている。
致命傷なのは人目で分かる。
レーヴェは半泣きになるのを堪えながら、呪文の詠唱を続けて行く。
最初のコメントを投稿しよう!