不条理と言う名の奇跡 #2

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「アンプランテ・アヴニール7、8、29連鎖解放。トーラス呪詠式トーラス呪詠式・トリオ・三重輪唱“精魂の息吹”、“吸精憑依”、“風の咆哮”」 空中に浮かぶ魔法陣に包まれた魔剣が太陽のように灼熱する。 それを中心に烈風が巻き起こって行く。 「目覚めよ“破滅の魔の杖”。瞬け“ピエス・レヴァテイン”!! あいつの野望を撃ち砕け!!」 レーヴェの雄叫びに呼応するように炎の魔剣が飛び立つ。 あらゆるものを融解させる黒い矢は、黒い炎の軌跡を残しながら閃光のようにアフティ目掛けて飛翔した。 “魔砲術”の使い手は世界広しと言えど扱う魔術師は皆無に近い。 理由はグリモアライズ・ヒートリード【魔道破棄術式】と同じだ。 秘宝を使い捨て同然に使うなど、大半の王ですら躊躇する。 魔剣を防ぐためにアフティは願望投射を行おうとするが、魔鎌の効果の影響か想念を上手く結べない。 『護れヘルメ■ア!』 アフティの声に従うように、ヘルメキアはまるごと一冊の本を犠牲にする。 守護祭儀書と明記された魔道書から、まばゆい光を放つフラクタル方式の螺旋魔法陣が拡がって行く。 その中心に魔剣は激突した。 拮抗した力が接触点で明滅する。 しかし、魔剣の力の影響か魔法陣は中心から徐々に分解して行く。
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