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「行ける!!」
魔力のほとんどを使いきったレーヴェはその場に跪く。
冥夢の幻域の力が生きていたら致命に成りうる迂闊さだが、今はガルンによって召喚神殿ごと機能は失われている。
力勝負に負けると判断したのか、ヘルメキアは新たな魔道書を出現させていく。
「防御魔法の合わせがけ?!」
新たに展開して行く魔法陣を、レーヴェは絶望的に眺めた。
このままでは魔剣はともかく、撃ち出した魔力が力負けするかも知れない。
それでは必殺の一撃も弾かれてしまう可能性が高い。
その拮抗する力の衝突場所の前に、ゆらりと人影が現れた。
「壁が……あるなら。ブチ破るのみだろぉが!!」
力強い雄叫びが世界中にこだまする。
拮抗していた魔法陣に、現れた円城の渾身の拳が叩き込まれた。
空間ごと魔法陣が渦のように歪むと、そのまま捩切れるように魔法陣にひびが入って行く。
「もう……一発――いっとけや!!」
円城は大きく拳を振りかぶると、魔剣の柄の底に拳を叩き付けた。
釘を打ち抜くハンマーのように、魔法陣を打ち砕き黒い釘が内部に侵入する。
それはヘルメキアを貫き、アフティの額の仮面に突き刺さった。
世にも無惨な悲鳴が上がる。
ヘルメキアはゆっくりと傷口から黒い炎が溢れだし、黒く炭化して行く。
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