不条理と言う名の奇跡 #2

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「行ける!!」 魔力のほとんどを使いきったレーヴェはその場に跪く。 冥夢の幻域の力が生きていたら致命に成りうる迂闊さだが、今はガルンによって召喚神殿ごと機能は失われている。 力勝負に負けると判断したのか、ヘルメキアは新たな魔道書を出現させていく。 「防御魔法の合わせがけ?!」 新たに展開して行く魔法陣を、レーヴェは絶望的に眺めた。 このままでは魔剣はともかく、撃ち出した魔力が力負けするかも知れない。 それでは必殺の一撃も弾かれてしまう可能性が高い。 その拮抗する力の衝突場所の前に、ゆらりと人影が現れた。 「壁が……あるなら。ブチ破るのみだろぉが!!」 力強い雄叫びが世界中にこだまする。 拮抗していた魔法陣に、現れた円城の渾身の拳が叩き込まれた。 空間ごと魔法陣が渦のように歪むと、そのまま捩切れるように魔法陣にひびが入って行く。 「もう……一発――いっとけや!!」 円城は大きく拳を振りかぶると、魔剣の柄の底に拳を叩き付けた。 釘を打ち抜くハンマーのように、魔法陣を打ち砕き黒い釘が内部に侵入する。 それはヘルメキアを貫き、アフティの額の仮面に突き刺さった。 世にも無惨な悲鳴が上がる。 ヘルメキアはゆっくりと傷口から黒い炎が溢れだし、黒く炭化して行く。
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