不条理と言う名の奇跡 #2

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「エン!!」 崩壊して行く逆さまな世界では、レーヴェの声も轟音に掻き消されて満足に響かない。 匍匐で身体をはいつくばらせながらも、何とか円城の元にたどり着く。 「世界の……未来とやらは……救えたのか?」 円城の疑問にレーヴェは小さく俯いた。 始めからこの戦いは、未来を救うなどと言う大それた話では無いのだ。 ただの生存争い。 死ぬはずの人間達が、閉じた世界で必死にもがいていたに過ぎない。 未来の針は当の昔に進んでいる。 復活した人間が生を切望した結果でしかない。 ある意味、アフティの願望は純粋だったのかも知れない。 理不尽な死を前に、生に焦がれない人間はほぼいないのだから。 生き残るチャンスがあるならば、それに縋るのは当然の選択と言えよう。 そう――生への執着は、本能的に持つ生命の欲望なのだ。 『死■ない。我は■望。■者の願い。我は三度甦る』 海面から不快な声が漏れ始めた。 レーヴェの顔色が一瞬で青ざめる。 それはアフティが自らの身体から抜き出した、黒い塊が落ちた場所だ。 そこから黒い泥のような腕が飛び出している。 流石に円城も顔が強張る。 戦いたくても今では立つ事すらままならない。
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