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本来はこの神域防壁の為に、殆どの攻撃は無効化される。
神と人とを隔てる世界の壁のようなものだ。
だが、“虚世の焔”はその世界すら浸食する。
ネメシスの防壁を摺り抜けて召喚ゲートを破壊してのけるのも、頷ける力である。
「神域の扉に進入するか――だが、神霊力の結晶たる神露の断片は突破出来ないと見える」
ネメシスが炎に対して使ったのは、針を壁状に変化させたもののようだ。
冥府の世界の崩壊跡から、ガルンが炎纏って現れる。
それを見計らっていたように、ネメシスは腕を真横に振った。
見えざる針が飛び込んで来たガルンを迎撃するように、この世界に転移する。
別神域からの転移攻撃。
本来、相転移攻撃にしてその力を解放すれば、冥夢の幻域など跡形もない。
ただし、この狭い空間では自滅する威力である。
それでは神域防壁が消失してしまう可能性は高い。
そもそも人間一人を殺すのに、そのような過度な力はいらないのだ。
そして――神にはそれをおいそれとしない理由もある。
それを――ガルンはかつての師の語った教えから理解していた。
“神は全力を出さない。いや、正確には全力を出したくないのさ”
その言葉通り、攻撃は見えざる針による転移攻撃である。
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