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だからこそガルンは神の機微を知っていたのである。
その心情を活かした、大胆な戦法は完全に功を制した。
とどめの鉄槌が振り下ろされる。
“虚世の焔”で焼滅ぼされるか、滅陽神の剣で斬り屠られるかは大した違いではない。
ネメシスは悪あがきをするのは止めたようだった。
妖刀は容赦なく一刀両断で半身を更に分断すると、ネメシスの身体は完全に灰となって燃え尽きた。
それを見届けてからガルンは妖刀を一振りすると、黒い炎はゆっくりと消え始める。
「引き裂いて殺せなかったが……まあ、これでパリキスへの暴言は勘弁してやる」
そう告げるとガルンは後方を振り向く。
気掛かりなのはレーヴェ達の戦いである。
気にはなるが、開けた穴は塞がれたのか亜空間を感知は出来ない。
こちらから戦場に戻る術はないのだ。
「黒幕とやらの野望は阻止出来た……か? 後はそちらの戦いだぞレーヴェ・ブロイエシュテルン」
見上げる先にレーヴェ達の戦場があるかは謎だ。
それ以上はただの感傷であろう。
ガルンはゆっくりと妖刀を背の鞘に戻すと召喚神殿を後にした。
◇
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