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その言葉にレーヴェは首を左右に激しく振った。
記憶の片隅にある屍の山と、死にかける記憶。
アレのどれかは正しい気がする。
リアリティのある痛みは死ぬ前の記憶に直結しているのだろう。
《はっきり言うがマスター。マスターと俺が契約したのは、ちょうど今のマスターぐらいの年齢の時だぜ?》
そのデルエペラの声にレーヴェは眉を寄せた。
何を意図した言葉か理解出来ない。
「俺の知っているブルースフィアは……今のお前より年上だ。それに……お前は死んではいない」
「死んで……いない?」
ガルンの言葉にレーヴェは更に混乱した。
目を白黒させる主を気にかけてか、デルエペラはため息をついたようだった。
《マスターは根本的な間違いに気づいていないようだな? そもそも降神術と言うものには破格の霊的器が必要だ。その器を無理矢理精錬しようとしたら、生きている人間を使うしかない。何しろ死者には成長と言う概念がないからな》
その説明にレーヴェは目を見開いた。
降神術には詳しくは無いが、確かに神を降ろすのには規格外の器を必要とする。
例えば――神誓王国メルテシオンの第四王女のような破格の器が。
それを無理矢理鍛えるには生者を鍛えるしかないのだ。
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