エピローグ

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それに反応するように、真横の商人風体の男が手を上げた。 「俺は食った事あるぞ、そのパン」 「俺もそう言えば食ったな」 「あー、あの青髪の可愛らしい嬢ちゃんの店か?」 ポロポロと知っている人間が声を上げる。 意外と知名度は高いようだ。 「味はどうだったんだ?」 バーテンの言葉に商人は首を左右に振る。 「味は普通だな。たいして美味くもない。アレでは商売にならない」 商人らしい現実的な言葉に、他の目撃者も笑いだした。 「確かにちげーねえー」 「まあ~普通に街のパン屋のが美味いわな」 キャラバンの談笑が始まる中、バーテンは不思議に思った事を口にした。 「たいして美味く無い割には食べている人間が多いようだが……何故だね?」 その言葉を聞いて、目撃者たちは更に笑い出した。 段々と周りの客も気になったのか会話に割り込む。 「美味くないなら、お前らは何でパン買ってんだ? そこの看板娘は相当美人なのか?」 男の反応に周りからは、「普通」「まあまあ可愛い」「俺はプリティだと思うぜ?」など、判断しにくい意見が飛び交う。 「パンはただで食えるんだよ。ただなら多少まずかろうが貰うだろ?」 「ただ?」
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