不条理と言う名の奇跡 #3

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「少なくとも、お前と……先に逃げた奴は生きていた。存在は歪だがな」 ガルンはそう言ってネメシスの素体と成り果てたサンドリガーを思い出した。 神と一体化する事を望んだ哀れな人間。 だが、サンドリガーの願望は人間のそれだ。 死者の想いとは違う。 《仮説だがマスターと闇使いは、冥夢の幻域で生きていた数少ない人間だったんだろうぜ? アフティが蘇った時点でな。そこで因果律収束体として器を鍛える為に、二人はアフティに生かされた。死ぬような傷を無理矢理治してだろうがな》 そこでレーヴェは頭に鈍痛が走った。 額に手を当てて顔を顰める。 記憶に走る痛みとビジョン。 両脚に走る痛み。 暗闇に流れる血臭。 頭に響く道化師の声。 「ボクは……? あれは……?」 フラッシュバックする記憶。 それは最初の悪魔の囁きだった。
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