DARKBLAZE excursus

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「馬鹿……な?! 何があった」 砕けた神殿、崩壊した外壁、地面に開いた爆発跡。 無惨に変わり果てた地下施設を見て、青白い肌の少年は動揺を隠せないでいた。 全てが優位に進んでいた。 局所事象改変に成功し、この土地は全て冥夢の幻域と名付けた戦略領地に変貌している。 此処にあった筈のゲートを使い、着々と仲間を呼び寄せる事にも成功していた。 最強の戦闘集団である冥魔黎明衆も全員揃っている。 この状態までこぎつければ、負ける要素など皆無の筈であった。 それが、たった一人の黒ずくめの少年に覆されるとは。 体から奇妙な黒い炎を出し始めた少年の殺傷能力は異常だ。 まるで鬼神か魔王かと見間違うほどの力である。 冥魔黎明衆も少年を残して全滅。 上層の仲間も、時期に黒い死神に全て倒されるだろう。 此処は洞窟最下層だ。 逃げ場はない。 増援を呼ぶか、元の世界に逃げ込むか――どちらかを選択する為に来た地下施設が、いつの間にか廃墟と化しているとは。 予測不能な事態が立て続けに起こっている。 狩る側から狩られる側へ。 追い込んだはずが、追い込まれた状態に。 全てが狂っている。 何が原因かは分からない。 ただ、少年の逃げ道が完全に無くなった事だけは確かだった。
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