消せない思い

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「飯野さん、そろそろ 手術室に移動しましょう」 「あ…もうそんな時間でしたか」 「はい」 にこやかに微笑みながら 聖は看護師の手で ストレッチャーに 移動される孝之を見守る。 その瞳がゆっくりと 私に移動して来ると 『伊吹先生』が口を開いた。 「ご主人の小指は 確実に生かしますから。 どうぞご心配なさらずに」 「…はい… よろしくお願いします」 「オペの時間は 6時間くらいを予定しています。 終わるのは夕方になりますので それまでは奥様も お休みになっていて下さい」 掛けられた言葉が ズキズキと刺さって痛い。 私の出した結論は… 本当にこれで 良かったのだろうか…?
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