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「聖さんは千里さんを失った時、
見ているのが辛いくらい
自暴自棄になりました。
私はもうあんな聖さんを
見たくありません。
あなたが結婚していようが
そうでなかろうが、
ここから逃げるなんて
私は許しませんよ」
「…………」
「私に言った言葉、
絶対に忘れないで下さい」
冷たく言葉を吐き捨て
彼女は踊り場から姿を消し
階段を登って行った。
その途端、私の身体から
一気に力が抜けて行き
その場に座り込んでしまった。
自分が一番良く分かってる。
どれほどこの思いに
蓋をしてみても
心の中から聖が
消せないままだって。
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