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全てを打ち明けてくれた
孝之を必死に受け止めても
この身体が聖をしっかりと
覚えていて…。
さっき理事長室で
聖に唇を塞がれなかったら
たぶんこの思いを
言葉にしてしまったと思う。
でも悴田さんが言った
千里さんという人の話は
初耳だった。
聖にそういう人がいた事も
その人を失った時に
聖が自暴自棄になったと
いう理由が気になる。
自分の過去をほとんど
話してくれなかった彼が
心の奥底に抱えていた
もうひとつの闇が
そこにあるような気がして
また気持ちが揺れてしまう。
ダメだ…。
私は…孝之の妻なのに。
私のためなら己を捨てても
構わないと言ってくれた
孝之を、もう裏切る訳には…。
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