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毒舌マシンだけど仕事に対する情熱は、始末書を見れば明らかで。――器物破損も何のその。犯人を検挙するためには、手段を選ばない。そのひたむきさは、本当に舌を巻くレベル。そのひたむきさと情熱で俺のことを……この人は犯した。
とてもつらくて苦しくて――ついには憎もうとしたのに、時折見せる山上先輩の優しさや、子どものようなあどけない姿を垣間見ているうちにに俺は……気がついたら――
目の端で彼の姿を追ってる自分。そして耳で、貴方の声を必死に探していた。
「これって、恋……してる、んだ」
相手は男なのに――自分を無理やり犯した人なのに。この想いもそうだけどこれを告げた後の山上先輩の情熱も、正直怖かった。さっき呟くように言われたことも怖かった。俺のことを、どんだけ想ってるんだろう?
嬉しいけど、怖い。変な感情――
「好きです、山上先輩。早く良くなって下さいね」
はっきり感じた好きという気持ちを込めて、そっと唇にキスをする。
高熱で唇は乾いてカサカサしていたけど、体の熱はあのときと同じように感じる。
――早く良くなって、俺を抱いて下さい――
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