virgin suicide :想いが重なる夜

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(……お互い仕事がまだ終わっていないのに勝手に切り上げて、俺の家に向かうなんて大丈夫なんだろうか。それとも山上先輩は、仕事をちゃっかり終えたとか?) 「で、水野の家はあっちだろう?」   颯爽と署を後にしなぜだか俺の家の方角に向かって、迷いなく進んで行く。山上先輩もしかしたら、俺の家の場所を知ってる? それって正直、ストーカーちっくだよ……  俺が慌てふためいている間に、あっさりと自宅に到着してしまった。 「とりあえず、その辺に座って下さい。お茶くらい淹れますから」 「お茶なんかいらない」    おどおどしている俺を、後ろからぎゅっと抱きしめてきた山上先輩。 「なぁんで大事な台詞、デカ長に向かって言っちゃうかな」  心底呆れた声で言う。そりゃ当然だ…… 「いつから僕のこと、好きになっていたんだ?」  言いながら、俺の首筋に唇を滑らせる。途端に、背筋がゾクリとした。 「つっ……ちょっ、そんなことされたら、ちゃんと答えられませんよ」 「僕を焦らした、水野が悪い」    そう言うと、歯を立てて噛みつこうとした。慌てて後頭部の髪の毛を引っ張り、無理矢理引き剥がす。 「もう! 目立つところに歯形を付けるの止めて下さい。この間、関さんに散々、からかわれたんですから」 「僕のだっていう印、付けたいだけなんだ」  嫌がる俺を無視して首筋に噛みつき、しっかりと痕を残したというのに口を尖らせて不機嫌な顔をした。
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