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「だって、自分にはないでしょ? こうむちむちっとしたモノが。安心しません?」
「僕はスレンダーが好きだから、肉の塊に興味ない。安心とか意味不明」
言いながら口を尖がらせる。正直この態度が、意味不明だよ……
「どうせ僕は、むちっとしてないし」
俺が困った顔をすると、小さな声でボソッと呟いた。まったく、自分からネタを振ったくせに。
「そうですね。安心感ゼロですしね」
「ちょっ、お前。僕にケンカを売ってるのか?」
小さな呟きにしっかり答えながら、ニッコリと微笑んでやった。そんな俺を腕枕しながら、明らかに怒った顔して睨んでくる。
「だって山上先輩のそばにいると、ドキドキが止まらないから。安心感ないんです」
「水野……」
「どうせ女の好み聞いた後に、男の好みを聞く予定なんでしょ? 俺なりに推理してみました」
「どうして、分かったんだ?」
面白くなさそうに言う山上先輩。やれやれ、何を言っても機嫌が悪くなりそうだ。
「う……。ただ何となく。一緒に仕事してると読めちゃう、みたいな?」
「じゃあ今、僕がしたいコト、口に出して言ってみろよ」
「…………」
熱っぽい一重瞼が、俺を欲しいと語っている。分かっているけど、自分からは言いにくい。だって、結構ハズカシイ――
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