virgin suicide :想いが重なる夜

12/14
前へ
/84ページ
次へ
「だって、自分にはないでしょ? こうむちむちっとしたモノが。安心しません?」 「僕はスレンダーが好きだから、肉の塊に興味ない。安心とか意味不明」  言いながら口を尖がらせる。正直この態度が、意味不明だよ…… 「どうせ僕は、むちっとしてないし」    俺が困った顔をすると、小さな声でボソッと呟いた。まったく、自分からネタを振ったくせに。 「そうですね。安心感ゼロですしね」 「ちょっ、お前。僕にケンカを売ってるのか?」  小さな呟きにしっかり答えながら、ニッコリと微笑んでやった。そんな俺を腕枕しながら、明らかに怒った顔して睨んでくる。 「だって山上先輩のそばにいると、ドキドキが止まらないから。安心感ないんです」 「水野……」 「どうせ女の好み聞いた後に、男の好みを聞く予定なんでしょ? 俺なりに推理してみました」 「どうして、分かったんだ?」  面白くなさそうに言う山上先輩。やれやれ、何を言っても機嫌が悪くなりそうだ。 「う……。ただ何となく。一緒に仕事してると読めちゃう、みたいな?」 「じゃあ今、僕がしたいコト、口に出して言ってみろよ」 「…………」  熱っぽい一重瞼が、俺を欲しいと語っている。分かっているけど、自分からは言いにくい。だって、結構ハズカシイ――
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加