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山上先輩は真っ赤になっている俺を見て、してやったりな顔をした。
「じゃあ、俺の好きな男は誰でしょう?」
冗談めかした口調で言いながら、空いてる手で俺の左太ももを下から上へ、つつつと触っていく。そして俺の――
「……やっ!」
「水野って見かけによらず、エロいんだな。僕まだ何もしてないのに、もう」
「だって、それは山上先輩が」
「嬉しいよ。性格同様に身体が鈍感だったら、どうしようかなってさ。ま、どっちにしろ、水野を好きなことには変わりないんだけど」
「俺が言おうとしたのに……。山上先輩が変なことをするから」
今度は俺が、口を尖らせる番になった。
「そんな可愛い顔してると、今すぐ襲うぞ?」
笑いながらチュッと、触れるだけのキスをする。
「襲わないで下さい。お互い明日、仕事なんだから。しっかり寝ないと、支障きたしますよ」
「大丈夫。適度な力加減で襲うから。仕事中寝たら、ぶん殴って起こしてやるって」
「何なんですか、もう……」
全然フォローになっていない。
「で、水野の好きなヤツは誰?」
目を逸らせないように、両手でしっかり顔をホールドされてしまった。
さっきだって、たくさん言ったハズなのに。まだ足りないのかな――?
「髪は長めのストレートで顔は面長。切れ長のキレイな一重瞼に、通った鼻筋。毒舌吐く唇は、薄いピンクのバラ色をしてる。性格はムチャぶりが多くて、周りに苦労させてる問題児。好きな人には、一途な感じかなぁ」
「後半すごく、僕をコケにしてないか……。ホントに酷い男だな」
「そんな達哉さんのことが、俺は好きなんです。だから、その……」
「僕は愛してる。すっごく愛してるんだよ、政隆。どうしようもないくらいに」
山上先輩のサラサラな前髪が熱いキスを隠す。鼻腔をくすぐる、甘い花の薫りにクラクラした。
山上先輩の声が、薫りが……その存在が俺をどんどん刺激する。それだけで、どうにかなってしまいそうだ。
室内に響くふたりの荒い息遣いと唾液の絡まる水音に、たちまち体温が上昇していった。俺だって気持ちを、しっかり告げたいのに……
貪るように塞がれた唇から、どんどん山上先輩の想いが流れ込んできて、今にもパンクしそうだった。
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