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その後、俺と関さんは並んで警察病院にある霊安室に向かった。扉をノックすると、中からデカ長が顔を出す。
取り乱した関さんとクタクタに疲れきった俺を見て、しっかりと一礼してから中に促した。
「山上の、立派な最期……見てやってくれ……」
目頭に手を当てて、半泣きしながら言う。
関さんが顔にかけられている白い布をそっと外し、山上先輩の顔をじぃっと見つめた。それから合掌し、さっさと向きを変えて足早に出て行く。
「関さん……」
思いきって声をかけると、右側の壁を拳でガンと殴りつけた。
「これから俺は……署に戻って、山上が残した資料を元に、容疑者すべての洗い出しをする。悪いが、失礼させてもらうよ」
そう言い放って颯爽と去って行く後ろ姿を見送ったら、デカ長が感嘆のため息をついた。
「さすが、監察官になるだけの器はあるな。俺はただ泣くだけで、何もできやしねぇや……」
「俺も……今は何も、手につかないです」
「悪いが、署に連絡してくる。留守番していてくれないか?」
「はい……」
俺はデカ長を見送ってから、改めて山上先輩に向き合った。関さんが白い布を外したままにしていたので、直ぐに顔を見ることができる。
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