virgin suicide :貴方が残してくれたもの

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***    警察署を出てから、山上先輩が眠っているお墓に来ていた。 「山上先輩……やっとここに来たよ」    胸の奥がきゅっと絞めつけられ、すごく切なくなる。    持ってきたひしゃくでじゃばじゃばとお墓に水をかけ、黙々と掃除をした。スポンジでゴシゴシお墓を擦っていると、何だか山上先輩の広い背中を洗ってるみたいでつい笑ってしまった。    掃除が終わってから、カサブランカを花立に差す。何の花が好きか分からなかったので、山上先輩に似合いそうなカサブランカにした。    掃除道具を片付け、墓前に向かってきちんと合掌してから地面に体育座りして、ゆっくり話しかける。 「山上先輩が追ってた汚職事件。関さんとふたりで、やっと解決したんだよ」    残してくれた資料、とても役に立った。 「山上先輩を撃った被疑者も捜査一課総出で一斉検問にかけて、すぐに捕まったんだ。坊っちゃんの仇討ちだ~とか言って、みんなが必死に捜査したんだよ」    影では悪口を言っていたのに心のどこかで、貴方を認めていたんじゃないかな。 「やっぱり、山上先輩はすごいなぁ……」    膝頭に額を当てて、そっと俯いた。柔らかく微笑んでる、山上先輩の顔が瞼の裏に映る。
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