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困ったと言いながらも、何だか嬉しそうなデカ長。そのお蔭で俺はやっと、心から笑うことができた。
「水野にとって山上の存在が大きかった分だけ、亡くなってから苦しんだかもしれない。だけど大きかったからこそ、それを柱に頑張っていけるよな?」
さっきまで心の中に渦巻いてた無気力や喪失感が、山上先輩の『ありがとう』の言葉で、キレイさっぱりなくなっていた。代わりに芽生えた、頑張らなきゃという新鮮な気持ちを大切にしていきたい。
山上先輩みたいに、カッコイイ刑事にはなれないだろうけど――俺だからこそ何かできることがあるんじゃないかって、心の中で思い始めていた。
「はい。デカ長にはたくさん迷惑かけると思いますが、改めて宜しくお願いします!」
大きな声できっぱり言い放つと、胸ポケットから手紙を取り出す。
「じゃあ、これは用済みだな」
俺が書いた辞表を、縦にビリビリと引き裂いてくれた。
「山上以上に厳しく、ばんばんしごいていくから覚悟しておけ!」
「はい、頑張ります!」
そうして二人で、一気にビールをあおった。
山上先輩が『徴悪』なら、俺は『勧善懲悪』で行こう。勿論、ドジを減らすことは忘れない。
――これでいいよね? 達哉さん。
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