あの日

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撮影してから少し経って、俺はひろしに呼び出されて練習スタジオへ行った時だった。 「すげえよ!ゆーじ!」 「なんだよ。そんなテンションMAXで」 「俺たちのPV、再生百万回越えちまったよ!」 「へえ。そりゃすげえじゃん、おめでと。俺も協力出来てよかったよ」 「何言ってんだよ。お前のボーカルのおかげだって!」 「そんな大したことして…ってかドレス着せられたりしたけとな、まぁ、報われたってもんだよ」 「お前の歌で俺たちも気合い入ったから、かなり腕も上がったし、マジ感謝だわ!それにしても書き込み多いのは男性ファンなんだよなぁ」 「男性?」 「女が歌ってると思ってるみたいでさぁ」 「…ちょっと待て」 「ん?なんだ?」 「お前んとこの新しいボーカルって、どんなやつ?」 「ん?新しいボーカル?」 「そうだよ。入れたんだろ?」 「んにゃ。入れてないよ?」 「は?はい?じゃPVって」 「ああ、あれだよ」 「あれ?」 「あの時撮ったやつだよ」 「…あの時って…」記憶を回帰して…「はぁ!?なにしてんだよ!」 「いや映像加工して完成させたらめっちゃいい出来でよ、ネットにアップしたんだよ」 「それって俺、訴えたら勝てるよな」 「いーじゃんか!どーせお前だってわかんねぇって!」 「バレたら俺、外あるけねぇわ!」 「バレやしねぇって。んでさ、お前の名前なんだけど」 「名前?」 「どーする?ゆーじとか、こだまとか」 「本名入れねぇよ!なんか適当に…って俺入らねえよ!?」 「書き込みすげぇんだよ。何て言う人ってさ。お前なんか無い?いい名前」 「んー…俺そういうセンスないからなぁ…って入んないからな!」 「書き込みによ、人形が歌ってるみたい!ってな書き込み多いんだよ。人形的な名前つけるか?」 「人形…まぁ、年齢が年齢だからロートルだけどな」 「それだったら人形ふうにさ」 アンティークってどうだ?
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