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「コホン」
コホンコホンと数回咳払いをし、葉月さんは私から視線を逸らした。
前席に座っていた梶木さんがその様子を見て、笑いながら私に目配せした。
私はその意味がわからず、隣席に座り、再び伝票にゴム印を押す。
会社の社名が入ったゴム印。朝から何冊押印したかな。もうこんな雑用しかさせて貰えないかも。
何をやってもダメな私。
『葉月さんには負けない』なんて、昨日啖呵を切ってしまったことが、急に恥ずかしくなる。
カーッと火照る頬。
穴があったら入りたい。
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